クラナッハの<三美神>

Les Trois Grâces (1531) / Lucas Cranach l’Ancien (1472-1553) / Musée du Louvre

ドイツルネサンスの画家ルーカス・クラナッハ (父) Lucas Cranach l’Ancien (1472-1553) が描いた<三美神 Les Trois Grâces (1531)> 。
個人所有だった本作品を<誰もが芸術の庇護者Tous mécènes>のキャンペーンによって四分の一の購入費を得てルーヴル美術館が購入して(2011)話題になった。
購入に先立ち、海外流出を阻止するために国家財産 Trésor national に指定し輸出禁止の措置が取られた(2009)。
真ん中が末っ子のアグライアー Aglaé で、左にエウプロシュネー Euphrosyne 、右にタレイア Thalieだと思われるが、ルーヴルにそのような説明はない。エウプロシュネーのポーズはヴィーナス・カリピジュ Vénus callipyge のそれに似る。


ルーベンスの<三美神>

L’Instruction de la reine (1622-25) / Cycle de Marie de Médicis / Les Trois Grâces / Pierre Paul Rubens (1577-1640) / Musée du Louvre

ルーヴル美術館所蔵のルーベンス Pierre Paul Rubens (1577-1640) の大作<マリー・ド・メディシスの生涯 Cycle de Marie de Médicis>の内の<公女の教育 L’Instruction de la reine (1622-25)>に
三美神(真ん中が末っ子のアグライアー Aglaé で、左にエウプロシュネー Euphrosyne 、右にタレイア Thalie)を描き込んでいる。
中央の公女マリーに教育を授けているのは左からアポロ(アポロン:芸術、アテナ(ミネルヴァ:知恵)、エルメス(メルクリウス:雄弁)の神々。
マリーの上から伝令のエルメスが雄弁のカドゥケウスと三美神から託された美を授けている。

ジェームズ・プラディエ による「三美神」

Les Trois Grâces (1831) / James Pradier (1790-1852) / Musée du Louvre

   depuis  2001

ジェームズ・プラディエ James Pradier (1790-1852) の彫刻、<三美神 Les Trois Grâces (1831)>
ギリシャ神話の三美神。
ルーヴル美術館にて (2022.07.14.)
恐らく真ん中が末っ子のアグライアー Aglaé で、左にエウプロシュネー Euphrosyne 、右にタレイア Thalie だと思われる。
アントニオ・カノーヴァ (1757-1822) による三美神(1814₋17)も同じ並び。
宝石箱を踏みつけているアグライアーは肩を寄せ合う姉たちが持つ花束のロープで背後を結ばれている。

 

エジプト太陽神に礼拝する タペレ夫人の石碑

   depuis  2001

古代エジプト第22王朝・23王朝並立時(BC745₋730頃)の石碑の前面、<タペレ夫人の石碑 Stèle de la dame Tapéret>。「タペレは花の形で彼の光線を彼女に照らす太陽神レ Dieu Soleil Re (Re-Horakhty) に祈ります」と案内されている。ルーヴル美術館にて(2022.07.14.)
太陽神 Re-Horakhty は”周りをコブラが囲った太陽の円盤”を冠したハヤブサの頭を持つ男で表される。手に「ヘカの杖 Sceptre Héqa とアンク Ânkh」と「ウアスの杖 Sceptre Ouas と鞭 flagellum」を持つ。
頂部の中心に「2匹のコブラの首にアンクをぶらさげた太陽の円盤」、両側に「天空の神ホルス Horus の目(ハヤブサの目)を表すウェジャットの目 Oeil Oudjat」。
側方には天を支える柱として「上下エジプトの百合の花 Lis、底部に「地上の神ゲブ Geb の頭」。

Stèle de la dame Tapéret / Re-Horakhty / Musée du Louvre

メリシパク2世のクドゥル(境界石) に<星と月と太陽>

kudurru / étoile (Ishtar) / lune (Sin) disque solaire (Shamash) / Musée du Louvre

   depuis  2001

カッシート(バビロニア第3)王 メリシパック2世 (BC 1186-1172) のクドゥル(境界石) kudurru 。
メリシパックが娘のフンヌバット ナンナヤに土地を寄付したことと灌漑用水路を修理したことを記している。
「カルトの香炉」の左側に座っている女神ナンナヤに王が娘を紹介している場面。
その上にイナンナ(イシュタル)を表す八芒星(金星)、ナンナ(シン)を表す月(三日月)、ウツ(シャマシュ)を表す太陽。
バビロニア(シュメール)からエラム(シュトルキッド朝)のスサへ紀元前12世紀に持ち込まれた戦利品で、その上下は削られている。

* スサノオはスサの王という都市伝説がある。

ポンパドール夫人の姿で ルイ15世との<友情>を

L’Amitié sous les traits de Madame de Pompadour (1753) / Jean-Baptiste Pigalle (1714-85) / Musée du Louvre

   depuis  2001

ポンパドール夫人が注文した<友情 ポンパドール夫人の姿で L’Amitié sous les traits de Madame de Pompadour (1753)>。
「友情」の寓意像。ルーヴル美術館所蔵。
彼女 Madame de Pompadour (1721-1764) がルイ15世から譲渡を受けたムードン Meudon の土地に建設したベルビュー城 Château de Bellevue (1750) に置くためにジャン=バティスト・ピガール Jean-Baptiste Pigalle (1714-85) に依頼したもので、ルイ15世像と対になっていたらしい。
足元の四季の花々が(ルイ15世と夫人の)友情は人生の様々な場面で開花することを仄めかしている。

夫婦の貞節の象徴 アザミを持ったデューラーの肖像

Portrait de l’artiste tenant un chardon (1493) / Albrecht Dürer (1471₋1528) / Musée du Louvre

   depuis  2001

ラファエロやダ・ヴィンチと同時代を生きたアルブレヒト・デューラー Albrecht Dürer (1471₋1528) の作品<アザミを持った芸術家の肖像 Portrait de l’artiste tenant un chardon (1493)>。
ルーヴル美術館にて (2015.01.04.)。
アザミは夫婦の貞節の象徴とされ、この絵はストラスブールで描いたデューラーの婚約の肖像画だと見られている。
友人からの情報に基づく木版画のインドサイは<デューラーのサイ Rhinoceros (1515)>として有名。

革命記念日 14 Juillet の朝 / ルーヴル美術館

7月14日、カトルズ(キャトーズ)・ジュイェ14 Juillet はフランスの革命記念日。
無料で開放されるルーヴル美術館への入館狙いで出かけた。右端に少々の行列。9時開館の47分前。
時間予約制のため、予約なしでの入館の保証はない。が、9時22分に入館できた。

Pyramide du Louvre / Musée du Louvre / Cour Napoléon

14 Juillet の締めはエッフェル塔の花火。France 2 で視聴。

クール ナポレオン(ナポレオンの中庭) COVID-19

   depuis  2001

ナポレオン3世が皇帝になって手掛けたルーヴル宮の拡張。後にピラミッドが置かれたクール ナポレオン(ナポレオンの中庭) Cour Napoléon を取り囲む部分がそれ。
北(左)にパヴィリオン リシュリュー、東にパヴィリオン シュリ―(向こうクール キャリー Cour carrée 側は以前からの時計パヴィリオン) 。ペディメントを支える柱は全てカリアティード Cariatide を使っている。
ジラルドンが飾り付けを加えたベルニーニによるルイ14世像 Statue de Louis XIV du Bernin agrémentée par Girardon の左右にPCR 検査用のテント。パスサニテールを所持していない人はここで陰性を証明できないと美術館には入れなかった(私は所持していたが)。2021.09.03.
これほど閑散とした光景は記憶にない。

Cour Napoléon / Napoléon III / Musée du Louvre / Pavillon Richelieu / Pavillon Sully / Statue de Louis XIV du Bernin / Pyramide du Louvre

カトリーヌ・ドヌーヴ号 が セーヌ川を行く

   depuis  2001

バトー・パリジャン Bateaux Parisiens が運航するトリマランのクルーズ船カトリーヌ・ドヌーヴ号がセーヌ川を上る。2021.09.05.
Covid-19 のため行動に制限のある中、満員の乗客が・・カルーゼル橋 Pont du Carrousel の左にルーヴル美術館、上流にシテ宮の時計の塔、サント・シャペルの尖塔、ノートルダム大聖堂のノースタワーが見えているシテ島。

LE CATHERINE DENEUVE / Bateaux Parisiens / La Seine

マダム レカミエの肖像 / ルーヴル美術館

   depuis  2001

ナポレオンがレカミエ夫人への贈り物としてジャック=ルイ・ダヴィッド Jacques-Louis David (1748-1825) に制作を依頼した<マダム レカミエの肖像 Portrait de madame Récamier (1800)> 。
受け取るつもりのなかった彼女はダヴィッドの弟子のフランソワ・ジェラール François Gérard (1770-1837) に依頼して(1801)<ベルナール生まれのジュリエット・レカミエの肖像 Portrait de Juliette Récamier, née Bernard (1777-1849)(1805)>を描かせた。これを知ったダヴィッドはこの絵に署名せず未完として生涯手元に置いた。
背もたれのない両端のあるこのタイプの長椅子:シェーズ・ロング Chaise longue は ”レカミエ Récamier” と呼ばれることとなった。寝室用ではなく居間用の長椅子なので、裸足で座るのははしたないとされていた。

Portrait de madame Récamier (1800) / Jacques-Louis David (1748-1825) / Musée du Louvre

“カフェデラコメディ” のテラス席

   depuis  2001

カフェデラコメディ Café de la comédie のテラス席。サントノーレ通りに面しています。
席に座っているとギャルソンが注文を取りに来ますが、8月9日以降は、テラス席でも先ずはPass sanitaire 衛生パスの提示を求められます。
Tootbus のオープン席に人影が見えます。左端の建物はルーヴル美術館です。

Café de la comédie / Rue Saint-Honoré

* 火災報知機の取り換えに E.Kさんに来てもらいました。Pass sanitaire や3日間有効の抗原検査等についてお聞きしました。

ラマッス 人頭有翼雄牛像

   depuis  2001

新アッシリアサルゴン朝の創始者サルゴン2世 (BC722-705) が首都として建設したドゥル・シャルキン Dur-Sharrukin の宮殿に置かれた守護神ラマッス Lamassu は人頭有翼雄牛像
冠にある雄牛の角は4本、雄牛の足は5本。人間の知恵、雄牛の強さ、翼の自由を兼ね備えたハイブリット生物。壁に刻まれた高浮き彫り relief mural。ルーヴル美術館。
宮殿の入り口を一対で守るもので雄牛がライオンである場合もある。

relief mural:passage inférieur porte de la vill / Dur-Sharrukin / Lamassu / Musée du Louvre

アッシリア最後のサルゴン朝を創始したサルゴン2世

   depuis  2001

Sargon II et un haut dignitaire. Bas-relief du palais de Dur-Sharrukin / Musée du Louvre

アッシリア最後の王朝サルゴン朝を創始したサルゴン2世 (BC722-705) のレリーフ。アッシリア最後の偉大な王とされるアッシュールバニパル (BC669-631) は曾孫にあたる。
首都としたドゥル・シャルキン Dur-Sharrukin / サルゴンの砦:にあるサルゴン2世の宮殿にあったもの。左の高官は息子のセンナケリブと思われる。
サルゴン2世は多くの歴史資料を残し首都の建設に注力したが、王位を継いだセンナケリブ (BC705-681) はドゥル・シャルキンを放棄しニネヴェに遷した。
ルーブル美術館収蔵。
右にアッシリア(王室)の守護神:ラマッシュ Lamassu 人頭有翼雄牛像。

王 (クラムワかパナムワIIまたはバーラキブ) の石碑

   depuis  2001

Stèle représentant un roi (Kulamuwa ou Panamuwa II ou Barrakib) / Musée du Louvre / Royaumes oubliés de l’empire hittite aux Araméens / Staatliche Museen zu Berlin

この石碑はトルコのジンシルリ Zincirli (ancienne Sam’al) で発掘された最も注目すべき石碑の1つで、使用人を伴った王を表している。
フェニキア文字で綴られたキラムワ碑文で有名なY’adiya国クラムワ王 (治世:BC830-20) の石碑の表現に酷似している。が、サマル国王パナムワ II (治世:BC743-727) またはバーラキブ (治世:BC727-713ou711) かも知れないとされている。
精密に加工された衣装や装飾品はアッシリア風。
王のレガリア Regalia であるロイヤルハットを被り、左手に菊花紋腕輪と蓮の花、右手では(欠落している)神々を指していると思われる。使用人の左手にはアッシリアのバケツに似たもの
ベルリン美術館 Staatliche Museen zu Berlin 所蔵。

アーベレのイシュタル

Stèle d’Ishtar d’Arbelès sur son lion (BC 800-700) / Musée du Louvre / Royaumes oubliés de l’empire hittite aux Araméens

   depuis  2001

アーベレ Arbèles はシュメール以来の歴史を持つアッシリアの都市 (現イラクのクルド人自治区首都アルビール)。
アーベレのイシュタル Ishtar d’Arbèles はアッシュール神とともにアッシリアの女神として崇拝された。
シリアの Tell Ahmar (ティル・バルシプ) で発掘された<ライオンに乗るアーベレのイシュタルの石碑 Stèle d’Ishtar d’Arbelès sur son lion (BC 800-700)>、頭上の八芒星とライオンはイシュタル (シュメールのイナンナ) のアトリビュート:属性。
ルーヴル美術館所蔵。

 

ヒッタイトのスフィンクス

   depuis  2001

紀元前16世紀から12世紀にかけて存在したヒッタイト帝国の遺物展「Royaumes oubliés de l’empire hittite aux Araméens」(2019 ルーヴル美術館にて)でお目にかかったハイブリッド生物 Créature hybride 、<ヒッタイトのスフィンクス>。隣国の古代エジプトのスフィンクスとは異なる。<Moulage d’un orthostate représentant une créature hybride (BC1000-900)>大英博物館所蔵。
有翼のライオンにロイヤルハットを被った王の頭部が乗せられている。
このハイブリット生物はギリシャ神話の怪物「キメラ」の基とみられている。雌ライオンの尻尾は蛇頭かも。

Créature hybride / Sphinx hittite / Musée du Louvre / Royaumes oubliés de l’empire hittite aux Araméens

タラリア (有翼のサンダル) を付け直すメルキュール

   depuis  2001

Mercure rattachant ses talonnières (1834) / François Rude (1784-1855) / Musée du Louvre

新古典主義からロマン主義への過渡期の彫刻家フランソワ・リュード François Rude (1784-1855) の作品、<タラリア Talaria (有翼のサンダル) を付け直すメルキュール Mercure rattachant ses talonnières (1834)>。
ルーヴル美術館所蔵。
ローマ神話のメルキュール / メルクリウスはギリシャ神話の神々の伝令使であり旅人や商人の守護神であるエルメス / ヘルメース。
有翼の帽子 / 羽根兜:ペタソス Pétase と蛇の巻き付いた有翼の杖 / エルメスの杖:カドケウス Caducée もともにエルメスのアトリビュート / 属性。